野菜類の扱い方の基本
野菜の下ごしらえで大切なのはよく洗うことです。洗うときにつぎの点にご注意ください。
色や香りを失いやすいもの、水を吸収しやすいもの、成分が溶け出しやすいものは手早く洗うことです。
柔らかいものやキズになりやすいものは、たっぷりの水で静かに洗うことです。
汚れのひどいものは、多量の水で1回だけ洗うよりも、少量の水で何回も洗う方がずっときれいになります。
あたたかい水よりも冷たい水の方が食品の変化が少なく済みます。
野菜にアクはつきものですから、アク抜きは当然しなければなりません。アクの強いもの、色や味を保ちたいものはゆでてから洗うことです。この場合、栄養素の溶け出しが多くなりますので、手早く洗い、洗いすぎないようにしましょう。
ゆでた後、そのままにしておくと余熱で色があせてきますので、すぐに水に取ることです。
野菜の切り方(飾り切り)
<菊切り>4cm程度の長さに切って、周囲を歯車状にきざみを入れます。あとは料理に合わせて好みの厚さに切りそろえます。


<末広切り>長辺を4cm程度の長さに切りそろえて、縦に切れ目を入れたのちにずらします。


<キキョウ>まず正五角形に切り、つぎに星形に切り落とします。あとは料理に合わせて好みの厚さに切りそろえます。


<ねじり梅>キキョウに作り、その花弁を丸め、さらに放射状に浅く切り込んでそぎ取ります。


<平梅>キキョウを作り、それぞれの花弁のところを丸めてゆきます。


<乱切り>材料をまわしながら斜めに切ります。


<駒の爪>一方は斜めに、一方はまっすぐに切ります。


落としぶた
鍋の中にすっぽり入るような、ひと回り鍋より小さな蓋を用意します。落としぶたをして煮ると、煮汁が上下にゆきわたり、早く煮えてしかも煮くずれが防げ、味がまんべんなくしみるという利点があります。適当な落としぶたがない場合には、アルミホイルの真ん中に穴を開けて代用できます。




煮物の火かげん
一度煮立ててからゆっくりと煮詰めるつもりで、真ん中がぽつぽつと沸騰している程度の火かげんにします。
煮物の味つけ
最初から味を整えた煮汁で煮る以外は、材料が柔らかく煮えたところへ、まず甘味を入れ、それから辛味を加えます。先に塩や醤油を入れると、砂糖が効かなくなります。このときに、煮えたものと煮えてないものが混じっていると、味つけにムラができたり、煮くずれの原因になります。そのために、材料を同じ大きさに揃えて切ったり、硬いものから先に煮て、煮えあがる時間を揃えるといった注意が必要になります。また、つくだ煮のように時間をかけて煮るものは、醤油の味が失われるので、2〜3度に分けて入れる必要があります。


上手に煮るために<鍋返し>
イモ類やカボチャ・ニンジンなどの煮物の場合、箸やしゃもじで混ぜると煮くずれの原因になりますので、調味料を入れたら、鍋を上下にゆすって混ぜるようにします。弾みをつけて上下に動かすことを「鍋返し」と言います。


煮物の知識<含め煮>
時間はかかりますが、存分に持ち味を楽しめる煮かたとして「含煮(ふくめに)」があります。たっぷりの薄味の煮汁にゆでた材料を入れ、静かにゆっくりと煮詰めてゆく方法です。サトイモ、ユリ根、ダイコンなどに使われます。盛りつけるまで時間がある場合は、火から降ろしてそのまま汁の中で冷まし、盛りつけるときにもう一度あたためるのが、さらに美味しく頂くコツです。
煮物の知識<白煮>
野菜の色や持ち味を存分に生かす煮かたです。材料を白ゆでにして塩を少々振り、濃いめの出し汁に砂糖、塩、酒またはミリンを混ぜて煮立てものの中に入れて、中火でコトコト煮込みます。ダイコン、カブ、レンコン、ウド、ユリ根やイモ類などに用いられます。ただし、ウドやレンコンはシャキシャキ感が残る程度に煮ることが大切です。
煮物の知識<青煮>
フキ、青菜、サヤエンドウ、サヤインゲンなど、野菜の緑色を生かした料理に用いる煮かたです。はじめに材料を色よくゆでておき、次に煮たてた薄味の煮汁に材料を入れてひと煮立ちさせ、火から降ろします。これをザルに取って手早くうちわなどで扇いで冷まし、煮汁も冷ましてから材料を戻して味を含ませます。
煮物の知識<てり煮>
シイタケ、サトイモなどに用いられる煮かたです。はじめは薄味で煮て、次に調味料を足して中火で煮詰め、最後は鍋をゆすって(鍋返し)ころがしながら煮汁がなくなるまで煮ます。